暴排条例と「逆接近型」…暴排条例を「盾」として使う…

平成23年11月16日
 

第1 山口県暴力団排除条例(平成23年4月1日施行)

暴力団を恐れない
暴力団に金を出さない
暴力団を利用しない
暴力団と交際しない
 

第2 事業者の責務に関連する規定

1 利益供与の禁止(第12条)

※取引の関係者の確認(第15条)

 

2 暴力団の威力の利用の禁止(第13条)

 

3 不動産譲渡等の際の責務(第16条,17条)

 

4 違反者に対する措置


 

第3 内容

1 事業者等による利益供与の禁止(第12条)

(1)暴力団の威力を利用するため,又は威力を利用した見返り(第1項)
 (具体例)
○金融業者が,「恐喝行為をしてでも債権の取立てをしてほしい。」と暴力団に依頼し,金銭を支払った。 
○不動産業者が,所有する土地を売却するに際し,立ち退かない住民を追い出すために「力づくで追い出してほしい。」と暴力団に依頼し,金銭を支払った。
○事業者が,事業に関するトラブルを解消するため,「相手方との話し合いの場に立ち会って,揉めるようなことがあれば,脅しをかけてほしい。」などと暴力団に依頼し,金銭を支払った。
○風俗店が,売り上げを伸ばすため,競合店に対する強引な営業妨害を暴力団に依頼し,金銭を支払った。
 
(2)暴力団の活動又は運営に協力することを知りながら,相当の対償のない利益供与をしたとき(第2項)
○ガソリンスタンド責任者が,暴力団幹部らに対し,暴力団の活動又は運営に協力する目的で,無料で洗車をした。
○事業者が,暴力団の活動又は運営に協力することを知りながら,自己の管理する駐車場を無償で使用させた。
○病院経営する医師が,暴力団組長に対し,マンション一室を貸し与えたうえ公共料金を肩代わりして支払った。
 
(3)暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することを知りながら,暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し,当該利益の供与をしたとき
ただし,法令上の義務又は情を知らないでした契約に係る債務の履行として行う場合その他正当な理由がある場合は除く(第3項)。
(具体例・・・当たる場合)
○内装業者が,暴力団事務所であることを認識した上で,暴力団事務所の内装工事を行った。
○ホテルの支配人が,暴力団組長の襲名披露パーティーに使われることを知って,ホテルの宴会場を貸し出した。 
○印刷業者が,暴力団員の名刺や組織で出す年賀状等の書状を印刷した。 
○警備会社が,暴力団事務所であることを知った上で,その事務所の警備サービスを提供した。
○不動産業者が,暴力団事務所として使われることを知った上で,不動産を売却,賃貸した。 
○ゴルフ場の支配人が,暴力団が主催していることを知って,ゴルフコンペ等を開催させた。 
○興行を行う事業者が,相手方が暴力団組織を誇示することを目的としていることを知った上で,その暴力団員らに対し,特別に観覧席を用意した。 
○風俗店経営者が,暴力団員に対し,いわゆる「みかじめ料」を支払う行為や,暴力団から正月のしめ飾り等を購入する行為 
○スナック経営者が,暴力団員が経営する事業者であることを知りながら,その事業者から,おしぼりや観葉植物などのレンタルサービスを受けてその料金を支払った。 
(具体例・・・当たらない場合)
○レンタカー業者が会合のための送迎用に使用するマイクロバスとしてレンタルしたところ,貸与した相手が暴力団員であることが後から判明した。 
○飲食店が個人的に使用すると思い暴力団員に個室を貸したところ,結果的に組織の会合として使用されてしまった。 
○葬祭業者が身内だけで執り行う暴力団員の葬儀のために,会場を貸し出す行為 
○スーパーマーケット等の小売店が,暴力団員のような風体をしている者に対して商品を販売する行為 
○コンビニエンスストアが,暴力団員に対しておにぎりや清涼飲料水等の日常生活に必要な物品を販売する行為 
○暴力団事務所に電気やガスを供給したり,医師が診療行為を行うなど法令に基づいて行われる行為 
○弁護士が民事訴訟において暴力団員の代理人になる行為 
○事務機器業者が条例施行前に契約を締結し,暴力団事務所に事務機器をリースしていたところ,契約満了日までリースサービスを継続する行為 
○ホテルが結婚式の予約を受け付けたところ,当日に暴力団員が多数集まる組長の子供の結婚式と判明したが,多額の損害賠償等が予想されたためそのまま披露宴を行う行為 
 
(4)取引の関係者の確認義務(第15条)
事業者は,その行う事業に係る取引が暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資する疑いがあると認めるときは,当該取引の相手方又はその媒介をする者その他の関係者が暴力団員等でないことを確認するための措置を講ずるよう努めるものとする(努力義務)。
○疑いがあれば,警察,暴追センターに相談
○表明・確約書
→詐欺罪での立件(文字は大きく!)
 

2 事業者が暴力団の威力を利用すること

 

3 不動産譲渡等の際の責務(第16条)

(1)確認義務(第1項)
県内にある不動産について,所有権の移転や賃貸借の設定等をする場合,契約締結前に,当該契約の相手方に対し,当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認する措置を講ずるよう努めなければならない(努力義務)。

(2)契約の禁止(第2項)
当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知りながら,当該所有権の移転等に係る契約をしてはならない。

(3)特約条項の設定(第3項)
①当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならない特約
②暴力団事務所の用に供されていることが判明した場合には,無催告解除し,又は当該不動産の買戻しをすることができる特約→速やかに解除・買戻しをするように努めなければならない(第4項)。(努力義務)

(4)代理・媒介者の責務(第17条)
 

4 違反者に対する措置(公安委員会)

(1)説明又は資料提出の請求(第20条)
(2)勧告(第21条)
(3)公表(第22条)
(4)事業者としての考え方
よく見る報道・・・「『誰が組員なのか分からないし、何が利益供与に当たるのかも判断できない』と困惑する事業者も多い。」
勧告の対象:第12条第3項違反(後で分かった場合)は含まれない。
but 事実上の指導や入札参加資格の制限等はありうる(交際リスク)。
事前に分かれば,断る。
事後に分かれば,契約を解除する。
そのとき「盾」になるのが暴排条項と暴排条例
 

第4 対策

1 暴排条項の設定

2 関係者の確認(予約後,契約後に分かることも多い)

3 契約を解除する

→「逆接近型」の問題
(1)不当要求については,これまで「接近型」「攻撃型」「癒着型」の3類型が典型といわれてきた。
しかし,暴排条例の成立や暴排条項の普及に伴い,先方からの攻撃がなくても,こちらから先方に積極的に対応していって,取引拒絶をしたりする「逆接近型」が増えてきた。似たようなパターンには,国交省などの公共事業における用地取得交渉などがある。
この場合の特徴は,双方の言い分の間をとるような交渉の余地がほとんどないという点である。すなわち,担当者は暴排条項の適用を相手方に通知するしかない。

(2)現場で対応する者の対応方法とすれば,粛々と伝えることに徹する。
① 粛々と暴排条項の要件該当性を確認する。
「○○さんは暴力団の構成員ですよね。」
ⅰ 相手が認めれば,それに基づいて暴排条項の適用を伝える。
ⅱ 認めなくても,こちらは要件に該当すると考えているので暴排条項を適用する,と伝える。※事前に暴追センターなどで確認済み。
「こちらは約款のこの条項に当たっていると考えています。」
ⅲ 「根拠」等の議論はしない。
② 暴排条項により解除する旨はっきり意思表示する。
「約款のこの条項に当たると考えているので,解除します。」
③ 会話は噛み合わなくてよい。伝えるだけ。
 (3)暴排条項がなくても,条例を「盾」にして解除する。
    先に内容証明郵便で解除通知を送る。
    →文句を言ってきたら(2)のパターンで対応

講演実績

セミナー・講演分野一覧

【交通事故】 【離婚】
【相続】 【福祉・成年後見】
【不動産】 【その他】

 ※リンクから各講座のテキストをご確認いただけます。

 ご参考になれば幸いです。



交通事故

H28. 7.21 H28全労済交通事故研修  【担当:板村弁護士・藤村弁護士
H27. 4.22 認知症高齢者による交通事故の予防と法的責任 【担当:板村弁護士】
H26. 8. 8 交通事故研修-主婦休損と過失割合について 【担当:板村弁護士・藤村弁護士
H26. 7.29 交通事故研修-過失割合について 【担当:藤村弁護士】
H25. 9.10 第1回交通事故研修会 ~第1部 「交通事故と損調専門職」~【担当:板村弁護士・藤村弁護士】


離婚

H26. 2. 8 DV防止研修会パネリスト



相続

H29. 2.25 遺言書作成支援に関する留意点~遺言者に寄り添った遺言書作成に関する弁護士の意見~
      【担当:藤村弁護士】
H28. 2.27 遺産分割協議をスムーズに行う方法~遺産分割調停等の現場から観た弁護士の意見~
      【担当:藤村弁護士】
H27. 5.14 消費生活講座「よくわかる遺言」~遺心伝心~ 【担当:藤村弁護士】
H26. 6.21 賃貸住宅セミナー よくある相続トラブルとその予防法 【担当:板村弁護士】
H26. 5.16 相続と資産防衛 今,知っておきたい実践セミナー  【担当:板村弁護士】 
H26. 2.11 相続対策と確定申告・節税セミナー 【担当:板村弁護士】
H25. 5.12 消費生活講座よくわかる相続・遺言・後見



福祉・成年後見

H29. 9.22 高齢者虐待防止研修「虐待防止と権利擁護について~弁護士の視点,社会福祉士の視点から~」
      【担当:板村弁護士】
H29. 9.14 山口県ケアマネ協会講演「~裁判例から見る~施設ケアマネジメントにおけるリスクマネジメント」
      【担当:板村弁護士】

H28.10.27 防府緩和医療懇話会「裁判例からみる在宅介護のリスクマネージメント」 【担当:水野弁護士】
H28. 8.23 防府ケアマネ協会研修「神戸玄関チェーン事件で考える徘徊事故のリスクマネジメント」 
      【担当:板村弁護士】
H28. 2.14 第32回華城地区社会福祉大会「老後を賢く安全に暮らすために」 【担当:板村弁護士】
H27.12.15 防府市高齢者虐待対応研修会 経済的虐待へのアプローチ 【担当:板村弁護士】
H27. 7.20 ソーシャルワーカーデー「なぜ社会福祉士を取得したのか~弁護士と社会福祉士の視点の違いから~」
      【担当:板村弁護士】
H27. 1.22 介護サービスにおけるリスクマネジメント 【担当:板村弁護士】
H26.12. 5 労働者健康福祉機構の未払賃金立替払制度に関する研修会 パネリスト 【担当:藤村弁護士】
H26.10.25 介護保険サービスにおけるリスクマネジメント 【担当:板村弁護士
H26. 9. 25 施設内障害者虐待防止研修 【担当:板村弁護士
H26. 8. 4 未成年後見制度について 【担当:板村弁護士
H26. 6.11 成年後見と医療同意について  【担当:板村弁護士】
H26. 4.24 消費生活講座 よくわかる成年後見制度  【担当:板村弁護士】
H26. 4.19 介護支援専門員のリスクマネジメントセミナー  【担当:板村弁護士】
H25. 3.24 虐待防止と権利擁護を語る
H25. 2.10 「認知症疾患医療センター研修会」
H24.11.14 「H24.11.15 高齢者・障害者の権利擁護に関する弁護士会の取組みパネリスト」
H24.11. 4 第2回山口芸術短期大学キャリアアップ事業 『施設現場における虐待を考える』
H24.10. 2 平成24年度 法人成年後見研修会講師
H24. 3.27 山口県障害者虐待防止・権利擁護研修会講師(障害者虐待防止法)
H24. 3. 2  高齢者虐待対応関係者研修会講師(高齢者虐待防止法)
H23. 9.15 成年後見講義講師(山口県立佐波高等学校)
H22.11.16 成年後見活用講座講師(高齢者虐待防止法)



不動産

H29. 7. 8 プロが教える立退き交渉術~最近の裁判例から見る「正当事由」の感覚~【担当:板村弁護士,藤村弁護士】
H26. 4. 5 入居者とのトラブルを防ぐ法律知識セミナー   【担当:板村弁護士】
H26. 1.18 プロが教える立退き交渉術(H26.1.18) 【担当:板村弁護士】
H25.12. 8 ほっぷ主催 不動産オーナー向け資産活用セミナー 【担当:板村弁護士】
H25. 3.12 山口県土地家屋調査士会防府支部研修会



その他

H29.10. 3 不当要求防止責任者講習 【担当:板村弁護士】 
H29. 7.19 主権者教育講演(下関工業高校) 【担当:藤村弁護士】
H29. 6.22 主権者教育講演(厚狭高校) 【担当:藤村弁護士】
H29. 3.14 主権者教育講演(萩光塩高校) 【担当:藤村弁護士】
H28.12.14 主権者教育講演(萩商工高校) 【担当:藤村弁護士】
H28.10.20 周南市介護支援専門員研修会 個人情報の取扱いについて 【担当:板村弁護士】
H27.10.16 弁護士が語る、消費者トラブル 【担当:藤村弁護士】
H27.11.11 マイナンバー研修「マイナンバー漏洩の法的責任と対策」 【担当:板村弁護士】
H26.12. 4  不当要求防止責任者講習  【担当:板村弁護士
H26.11. 7 第81回民暴山口大会第23回山口県暴力追放県民大会 【担当:板村弁護士
H26. 8. 9 山口県行政書士会業務研修会-ペットに関する紛争の解決方法 【担当:藤村弁護士】
H26. 2.10,2.17 消費者教育講座~さあ,お金の話をしようか~ 【担当:藤村弁護士】
H26. 2. 1 山口県弁護士会 新人実務研修 【担当:板村弁護士】
H25.12.10 2013年度国土交通省山口河川国道事務所法律相談研修会講師
H25.11.16 山口県行政書士会 法的知識研修会 【担当:藤村弁護士】
H25.11.14 不当要求防止責任者講習
H25. 9.26 やまぐち消費者大学「情報通信サービスに関する相談と法律」【担当:藤村弁護士】
H25. 9.21 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 (再改訂版)の解説【担当:藤村弁護士】
H25. 4 .4 利益を守る契約書の作り方
H25. 2.23 山口県行政書士会法的知識研修
H24.11. 1 第21回山口県暴力追放県民大会
             大会の様子が山口新聞に取り上げられました。
H24. 9. 5  山口県証券警察連絡協議会講師
H24. 7.27 2012年度国土交通省山口河川国道事務所法律相談研修会講師
H24. 7.12 不当要求防止責任者講習講師
H23.11.16 企業防衛対策協議会講演講師(暴排条例について)
H23. 8. 9  不当要求防止責任者講習講師
H23. 8. 3  司法修習生及び若手会員対象選択型修習講師(高齢者虐待防止法)
H23. 2.15 平成22年度高等学校消費者教育講師(小野田工業高等学校)
H22. 9. 8  司法修習生及び若手会員対象選択型修習講師(高齢者虐待防止法)
H22. 7.27 山口県警 司法改革制度講演講師(裁判員裁判について)
H22. 6.14 不当要求防止責任者講習講師
H22. 3. 8  消費生活相談員養成講座講師(特定商取引法)
H21.11.26 消費生活相談員養成講座講師(特定商取引法)


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