面接における非言語コミュニケーションについて
面接における非言語コミュニケーションについて
人と人との間では,言語的なメッセージだけでなく,非言語的なメッセージによってコミュニケーションが図られます。
一般に,非言語的なメッセージは,①表情,②視線・アイコンタクト,③動作,④姿勢,⑤身体の位置・距離・接触,⑥声の調子・抑揚・強弱,⑦間・速度,⑧その他(ため息など)で表され,このような非言語のメッセージは無意識に多用されます。
ソーシャルワーカーがクライアントと面接する際は,まず,適切に非言語メッセージを伝えることが重要です。ソーシャルワーカーが非言語的に伝えるメッセージとしては,例えば,「あなたを援助する意思をもっている」,「あなたを援助する準備ができている」,「あなたを決して拒否しない」などがあります。これら非言語のメッセージを伝えるソーシャルワーカーが,落ち着いた態度で共感している表情ができることは,クライエントを支えることにつながります。
また,お互いが話しやすい適切な体の位置や距離にも留意する必要があり,適切なアイコンタクトは,それだけで適切なコミュニケーションとなります。
次に,クライエントへの非言語的な反応も重要です。ソーシャルワーカーの表情,視線,相づち,頷きなどは,話を共感的に聴いているかどうかということを言葉以上に表すものです。
適切なタイミングでの相づちや頷きがあれば,「自分の話に関心があり,一生懸命聴いてくれている」という確信をクライエントは得ることができます。適切な非言語的反応は,クライエントが多くを語り,肯定的に自らのことを考えるために無くてはならないものです。
クライエントの中には,様々な障害を抱え,あるいは辛い出来事で感情が揺れ,言語的メッセージが正確に伝わらない場合も少なくありません。その様な場合でも,非言語的なコミュニケーションは有効です。
ただし,クライアントに応じて使い分けることも忘れてはなりません。
以前,クライエント(精神障害を抱えた高齢者)との最初の面接において,周囲と同様にフランクに話しかけて怒らせたことがあります。このときは,少し距離を置いて丁寧語で接したところ,却って上手くコミュニケーションを図ることができました。
特に最初の面接においては,先入観を持たず,自分とクライエントとの距離感を慎重に測りながら,非言語コミュニケーションを適切に使い分ける必要があります。